畳作りの道具
モノつくりはヒトつくり

畳は一人にして成らず。
どんなに優れた畳職人も一人では畳は作れません。
畳が皆さんの空間に敷かれ畳のある暮らしになるまでに、実は何年もの年月と物語りがあるんです。

畳床、畳表、畳縁、糸、畳を作る機械や道具。
ありとあらゆる素材が様々な工程を踏み、畳職人である畳屋に委ねられます。
佐野畳屋では“モノつくりはヒトつくり”を念頭に、ヒトと素材に感謝しながら、
感動重視、わくわくを理念に、日々心を込めて畳を縫っています。

昭和二十四年に祖父が畳屋を開業し、たくさんのお客様の笑顔に支えられてここまで歩んできました。
一度、畳を敷き終えた時、お客様が
「ありがとう、これで良い新年を迎えられるわ」と、
畳に頬ずりをして、クシャッとしわを寄せて笑ってくれた顔を今でも鮮明に覚えています。
祖父が畳作りを始めてから六十年以上、畳業界も大きく変わりました。
和室の減少、機械化による大量生産、中国表、科学表の普及による国産表の衰退・・・・
しかし、変わりゆく時代の中でも変わらないもの。
それは、受け継がれる想いと、笑顔からもらえるエネルギー。

「すべてはあの時の笑顔がまた見たいから」
今日もまたあの時のクシャッとした笑顔が見たいから、
一枚一枚心を込めて、畳を縫っています。

い草の生産者
佐野畳屋の畳ができるまでの流れ
見積もり打ち合わせ

佐野畳屋が最も大切にしている行程です。一般的には「当店はこれがお勧めで、これが○○円で合計すると○○○円です。」と、トントンと話が進んでいきますが、佐野畳屋ではどのようなお部屋・環境なのか、実際の生活シーンをふまえて、畳を一緒に考えることから始めます。耐久性に優れ た品種、見た目が美しい品種、足ざわりの良い畳床やアクセントにも野暮にもなる畳縁、経年劣化と経年熟成の違いなど、色んな素材の話を通してお客様の理想の畳を想像していき、技術・仕上げのことをしっかりとお伝えした上で、最後に価格・日程のお打ち合わせとなります。

一見難しく思われるかもしれませんが、ご心配なく。“わかりやすくて楽しい”をモットーに、「い草LOVER」の店主が柔軟にご対応します。どんなに上質な国産畳であっても、その環境・生活に合わせたものでなければ意味がありません。佐野畳屋は、畳替えをリフォーム等のように人生において一大イベントだと考えます。だから、必ず満足していただけるように、打ち合わせを大切にしているんです。

畳の素材
採寸または引上げ

?で佐野畳屋に決めていただいた場合、日程を決め、新床(新しく畳を作る作業)の場合は部屋の採寸を行います。表替え(今ある畳で畳表と畳縁を替える作業)また裏返し(今ある畳で既存の畳表を裏返し畳縁だけ交換する作業)の場合は、あらかじめ隙間を見ながら引き上げます。ともにこの時、畳の下を掃いたり、掃除機をかけていきます。

床作り

採寸に合わせ、畳床を裁断、また寸だし(隙間を埋める)をおこない、角や縁下(畳縁がついてた部分)など、下がっているところなどに稲藁やい草などを縫い付けしっかり補修、補填していきます。どんなに良い畳でも床板が悪いと、しっかり敷き込むことは出来ません。またどんなに良い素材でも畳床が悪いとしっかりした畳にはなりません。どんなものでも生活の中では見えない所、土台作りが一番大事なんだと考えています。

畳職人
框縫い

床作りをおこなうといよいよ畳表を縫い付けていきます。時と場合により色んな工法がありますが、一般的に框(畳縁が着かない方)から縫い付けていきます。この時、畳の線の流れ、専門用語でいうと、い筋(一本一本のい草の流れ)に気を付けながら、しわが入らぬよう丁寧に引っ張り縫い付けます。

框を縫い付けた後、幅落とし作業

大包丁や機械などで上前と呼ばれる方から切り落としていきます。一般的に上前は部屋の中央に向かって敷かれますが、茶室や床の間がある場合は少し上前の位置が変わる場合もあります。

平刺し縫い

幅落としが終わると、畳縁を着けていきます。縁付けには平刺し縫い、角止め、返し縫いの全3工程があります。

職人の仕事の様子
角止め

最近は9割以上の畳屋が角をタッカー(大きいホッチキス)で止めますが、うちはしっかり縫い付けます。効率的には2倍以上の時間がかかり、敷き込むと見えない部分となりますが、耐久性や仕上がりに少しだけ違いが出ます。天然素材である畳への敬意を込め、これからも糸止めでしっかり縫っていきたいと考えております。

返し縫い

縁付け最後の作業です。しっかりゆるまないように縫い付けていきます。

仕上げ

要らない糸は切り、針穴などには霧吹きをし、繊維の少ない布で拭き上げて完了です。 お客様の所に届くまでしっかり紙などで養生し、保管します。

生産者さんの魂と、畳屋のこだわりで、 皆様の理想にお応えする畳を提供します!

畳は大きく分けると4種類の素材が合わさって出来ています。
その一つ一つが全く別の生産者さんの元で出来て材料問屋さ
んを介して工房に届けられてきます。
畳の芯材となる畳床(たたみどこ)、表面の畳表(たたみお
もて)に畳縁(たたみべり)、そしてそれらの素材を縫い合
わせたり、補助したりする副資材。どれ一つ欠けても良い畳
にはなりませんし、(へりなし畳は別として)また畳の裏側
には各々たくさんの思いと技術が詰まっています。

佐野畳屋がお勧めする畳は、そんな一つ一つの魂(素材)が
集結したものです。その魂をしっかり引き継ぎ、考え、縫い、
作ることによって、皆様の理想にお応えする畳にして提供し
ています。ご希望や不安な点、ちょっとしたイメージ等、気
になることがあればお気軽にお尋ねください。生産者さんの
魂と、畳屋のこだわりで、ご対応いたします!

佐野典久
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